防虫剤をきちんと入れていたのに、春に出したウールのセーターの袖に、小さな穴がいくつもあいていた。
こうした虫食いは、しまう前の手入れと防虫剤の入れ方を見直すと、防げることがあります。
見直したいのは、次の4つです。
- しまう前に洗わず、食べこぼしや汗が残っていた
- 防虫剤の効き目が切れたまま、取り替えていなかった
- 防虫剤を衣類の下に置いていた
- 引き出しやケースに服を詰めこみすぎていた
どれも、買う物を変えなくても直せることです。

そのうえで、収納場所と衣類の素材に合った防虫剤を選ぶと、虫食いは起きにくくなります。
穴をあける虫と、食べられやすい服
| 虫 | 食べる物 | 気づくきっかけ |
|---|---|---|
| カツオブシムシの幼虫 | ウール、カシミヤ、絹、羽毛など動物の繊維と、レーヨンなど | 毛の生えた茶色い小さな幼虫や、抜け殻が服や引き出しの隅にある |
| イガ(衣蛾)の幼虫 | ウールや絹など動物の繊維 | 服の表面に、繊維でできた筒のような巣がついている |
カツオブシムシは、春に家に入りこむ
カツオブシムシの幼虫は、衣類の中や近くで冬を越し、春から初夏にかけて成虫になって卵を産みます。
成虫は3mmほどの丸い虫で、白い花に集まることがあり、外に干した洗濯物について家に入ることがあるといわれます。
春から初夏は、取りこむ前に洗濯物を軽くはたくと、持ちこむ数を減らせます。
カツオブシムシは衣類だけでなく、鰹節や煮干しなどの乾物にもつく虫です。
台所の乾物に出た場合の対策は、「食品につく小さな虫(シバンムシ・コクゾウムシ・チャタテムシ)の見分けと対策グッズ、密閉容器・トラップ・除湿」で扱っています。
イガは、暗くて動かない場所の服につく
イガは小さな蛾の幼虫で、しばらく着ていない服や、クローゼットの奥の服につきやすい虫です。
食べた繊維で筒のような巣を作り、その中にこもって服を食べ進みます。
汚れの残った服ほど食べられやすい
虫は、食べこぼしや汗、皮脂がついた部分を好んで食べます。
一度だけ着たセーターでも、汚れが残っていれば虫食いの的になります。
洗うほどではない服も、しまう前に洋服ブラシでほこりを払い、風通しのよい日陰に干して湿気を抜いておきます。
防虫剤を入れる前に、洗うかクリーニングに出してからしまうことが、虫食いを防ぐいちばんの土台です。
服の種類ごとに、気をつけるところ
- ニット・セーター: ウールやカシミヤは虫食いが多い服なので、たたんで引き出しやケースに入れ、防虫剤は服の上に置く
- コート・スーツ: ハンガーにかけたまま、えりや袖口の汚れを落としてからしまう
- ダウン・羽毛の布団: 羽毛も食べられるので、押しつぶしすぎずに通気性のある袋に入れる
- 絹のスカーフ・ネクタイ: 小さい物ほど引き出しの奥に入りこみやすいので、1か所にまとめる
化学繊維だけでできた服は虫に食べられにくいものの、ウールが混ざった服や、汚れがついた服は食べられることがあります。
洗濯表示の素材の欄を見て、ウール・カシミヤ・絹・羽毛が入っている服を優先して守ります。
防虫剤の種類と、併用できる組み合わせ
防虫剤は、においのないピレスロイド系と、においのあるパラジクロルベンゼン、ナフタリン、しょうのうの4種類に分かれます。
| 種類 | におい | 効き方 | ほかの防虫剤との併用 |
|---|---|---|---|
| ピレスロイド系 | ほとんどない | 効き始めが早く、減りも早め | 多くの商品で併用できる(商品の表示で確認) |
| パラジクロルベンゼン | ある | 効き始めが早い | においのある種類どうしは併用しない |
| ナフタリン | ある | 効き始めはゆっくりで、長持ちしやすい | においのある種類どうしは併用しない |
| しょうのう | ある | 効き始めはゆっくりで、長持ちしやすい | においのある種類どうしは併用しない |
迷ったら、においが残らず、ほかの防虫剤と組み合わせやすいピレスロイド系から選ぶと扱いやすくなります。
においのある種類は、着る前ににおいが気になることがあるので、外に着ていく服より、長く保管する物に向きます。
収納ごとに選ぶなら、目安として次のように分けると迷いません。
- ふだん着るニットやシャツの引き出し: においの残らないピレスロイド系
- 出番の少ない礼服や、季節外れのコート: 吊るすタイプのピレスロイド系か、ふたのしまるケースに入れてにおいのある種類
- 着物や帯: 着物用として売られている防虫剤
ピレスロイド系どうしを、引き出しとクローゼットで使い分ける
前から入っている、においのある防虫剤に、表示で併用できると確かめたうえでピレスロイド系を足す
併用の可否は商品ごとに異なるので、買う前に表示の「併用」欄を読みます。
パラジクロルベンゼンとナフタリンのように、においのある種類どうしを同じ場所に入れる
前に入れた防虫剤の種類が分からないまま、においのある物を足す
においのある種類どうしを一緒に使うと、溶けて衣類にシミや変色が出ることがあります。
前の防虫剤の種類が分からないときは、表示で併用できると確かめたうえでピレスロイド系を足すか、古い物を取り出してから入れ直します。
パラジクロルベンゼンは、ふたのしまる衣装ケースなど密閉できる収納で使い、衣替えのときは部屋の換気をします。
金属のボタンや飾り、合成皮革のように、商品によっては避けるよう表示されている素材もあるので、使う前に注意書きを読みます。
防虫剤は、小さな子どもやペットの手が届く所に置かず、袋や容器に書かれた使用上の注意に従います。
子どもやペットが誤って口にしたかもしれないときは、商品の袋を手元に置いて、医師か獣医に相談します。
防虫剤を買う前に、収納の数を数える
防虫剤は、収納の形ごとに引き出し用、衣装ケース用、クローゼット用と分かれて売られています。
家にあるタンスの引き出しの数、衣装ケースの数と大きさ、クローゼットの本数を書き出してから売り場に行くと、買いすぎも足りなさも防げます。
たとえば、タンスの引き出しが6段、衣装ケースが4つ、クローゼットが1本の家なら、引き出し用を6段分、ケース用を4つ分、吊るすタイプをクローゼットの幅に合う本数、という数え方になります。
1袋に何個入っていて、1つの引き出しにいくつ使うかは商品ごとに違うので、表示の目安で必要な袋の数を決めます。
収納場所ごとの入れ方
クローゼットは、吊るすタイプ
ハンガーにかけた服には、バーに吊るすタイプの防虫剤を使います。

1本で守れる服の量やクローゼットの広さが商品ごとに表示されているので、収納の広さに合わせて本数を決めます。
服と服の間に指が入るくらいのすき間を空けると、防虫剤の成分が奥まで行き渡りやすくなります。
クリーニングのビニール袋は、湿気がこもりやすく、防虫剤の成分も通りにくいので、外してからしまいます。
ほこりよけには、通気性のある不織布のカバーを使います。
クローゼットの床や奥の壁際は湿気がたまりやすいので、吊るすタイプか置き型の除湿剤を一緒に入れると、カビの心配も減らせます。
引き出しと衣装ケースは、衣類の上に置く
防虫剤の成分は空気より重く、上から下へ広がります。
そのため、引き出しや衣装ケースでは、衣類のいちばん上に置くのが基本です。

置き方は商品の表示に従います。
使う数は、ケースの容量ごとの目安が商品に書かれているので、それに合わせます。
ケースを買い足すなら、ふたがしっかり閉まる物を選ぶと、防虫剤の成分が外へ逃げにくく、外から虫も入りこみにくくなります。
毛織物は、きれいにしてから密閉できるケースに入れ、防虫剤を一緒に入れておくのが基本のしまい方です。
服を詰めこみすぎると、成分が行き渡らず、下のほうの服から食べられることがあります。
においのある防虫剤を使った服は、着る前に半日ほど風通しのよい日陰に干すと、においが抜けやすくなります。
押し入れと和服は、湿気も一緒に防ぐ
押し入れは湿気がこもりやすく、防虫剤と除湿剤を一緒に使うと、虫食いとカビの両方に備えられます。
床にすのこを敷き、衣装ケースを直接置かないようにすると、下からの湿気を避けられます。

着物や帯をしまう桐箱やたとう紙には、着物用として売られている防虫剤を選びます。
衣替えでしまうときの手順
食べこぼしや汗の汚れを落とし、クリーニングから戻った服はビニール袋を外します。
湿ったまましまうと、カビと虫の原因になるので、天気のよい日に風を通します。
引き出しやケースの隅にたまった糸くずや毛くずは、虫のエサになるので、掃除機で吸ってから拭きます。
ケースの8分目くらいを目安に、服の間にすき間を残します。
防虫剤の袋や容器に、入れた日と取り替える予定の月を書いておきます。

防虫剤の替えどきのメモ
防虫剤には、半年用・1年用など、使える期間の表示があります。
中身が減ると見た目で分かる物や、「おとりかえ」の文字が出る物は、表示が出たら取り替えます。
衣替えの春と秋に、まとめて入れ替える日を決めておくと、切れたまま放っておくことがなくなります。
春から初夏に、一度ケースを開けて点検する
カツオブシムシが成虫になって卵を産むのは、春から初夏にかけてです。
この時期に、しまってある冬物のケースを一度開け、服の表面や引き出しの隅に、幼虫や抜け殻、粉のようなくずがないかを見ます。
防虫剤の残り具合もこのときに確かめ、減っていれば早めに取り替えます。
点検のついでに、晴れて乾いた日に引き出しを開けて風を通すと、湿気も抜けます。
穴を見つけたときにやること
穴があいた服の近くには、幼虫が残っていることがあります。
穴のあいた服だけでなく、同じ引き出しやケースに入っていた服も、洗うかクリーニングに出します。
収納は中を全部出して掃除機をかけ、防虫剤を新しい物に入れ替えます。
気に入っていた服の穴は、かけはぎ(かけつぎ)の修理を受けている店やクリーニング店に相談すると、目立たなく直せることがあります。
秋の衣替えで夏物をしまうときに、防虫剤の種類と入れた日を、ケースのふたの裏にメモしておくと、次の春にケースを開けたとき、足すか替えるかをすぐに決められます。





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