入居前の空室は、家具も食器もペットもいない分、くん煙剤の準備がいちばん少なくて済む部屋です。
住みながら使うなら、食器や家電を覆う準備と、家族が外に出る時間が加わります。
どちらの場合も、準備と手順の基準は、使う商品の説明書と箱の表示で、閉め切る時間や覆う物は商品ごとに少しずつ違います。
煙・水・霧、3つのタイプの違い
バルサンやアースレッドのようなくん煙剤には、始め方の違う煙・水・霧の3つのタイプがあります。
| タイプ | 始め方 | 閉め切る時間の例 | 火災報知器 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 煙(こすって始める) | 缶の頭を付属の板でこする | 2〜3時間 | 反応するので覆う | 煙を強く出して、すみまで届かせたいとき |
| 水(水に入れて始める) | 容器に水を入れ、缶を浸す | 2〜3時間またはそれ以上 | 反応するので覆う(専用カバー付きの商品もある) | 初めて使う、こする操作なしで始めたいとき |
| 霧(ボタンを押して始める) | ボタンを押しこむ | 1時間またはそれ以上 | 煙や熱を感じるタイプは説明どおりなら反応しないとされるが、表示では覆うよう指示。ガス警報器は反応することがある | 閉め切る時間を短くしたいとき |

閉め切る時間は、例として挙げたバルサンの各タイプの表示です。
アースレッドの水タイプは「2時間以上」のように、同じタイプでも商品で違います。
大きさは6〜8畳用、12〜16畳用のように部屋の広さで分かれているので、使う部屋の畳数に合わせます。
1つの部屋で2個使うときは、同じ商品の同じタイプをそろえます。
煙タイプと霧タイプを同じ部屋で一緒に使うと、引火や爆発のおそれがあるため、組み合わせて使いません。
霧タイプは、使う前にガス湯沸かし器の種火やヒーターを消し、ガスの元栓を閉めることも準備に入ります。
閉め切る時間が短い霧タイプは、犬や猫を連れて外で待つ時間も短く組めます。
火災報知器は、覆う前に「何につながっているか」を見る
部屋の中だけで鳴る警報器か、建物の設備か
戸建てや、建物に自動火災報知設備がない住宅の部屋に付けられる住宅用火災警報器は、その家の中で鳴らして知らせる機器です。
一方、マンションなどで建物全体に付いている自動火災報知設備の感知器は、鳴ると建物全体の警報や、管理会社・警備会社への連絡につながることがあります。
感知器は火事の煙だけでなく、湯気やほこりのような煙に似たものでも作動することがあります。
集合住宅で使うときは、使う日を管理会社に伝え、感知器を覆ってよいか、どう覆うかを聞いて、その指示に従います。
地域の消防が案内を出している場合も、その案内に従います。
覆い方と、外し忘れ
覆うときは、付属の専用カバーか、ポリ袋を使います。

くん煙剤は報知器の真下に置かず、霧タイプは噴き出し口を報知器に向けない向きに置きます。
使い終わったら、カバーや袋を必ず外して元に戻す
覆ったままだと、本当の火事のときに煙を感じ取れません。
換気と掃除が終わったら、報知器の数だけ外したかを数えます。
天井の報知器を覆うには脚立や踏み台を使うので、1人で無理をせず、脚立を支えてもらえる日に行います。
鳴ってしまったとき
火事ではないのに住宅用火災警報器が鳴ったときは、本体の警報停止ボタンを押すか、引きひもを引くと止まる機種があります。
止め方は機種で違うので、覆う前に一度、本体の表示や説明書で止めるボタンの位置を見ておくと慌てません。
建物全体の警報が鳴ったときは、自分で止めようとせず、すぐに管理会社や建物の管理者に連絡します。
連絡先の電話番号は、使う日の朝にスマホのメモに入れます。
使う日の前に、そろえる・片づける物
窓と換気口を閉め、戸棚・引き出し・押し入れは開けておく
食品・食器・おもちゃ・寝具・衣類・仏壇仏具は、ポリ袋や新聞紙で覆うか、部屋の外へ出す
テレビ・パソコンなどの精密機器と楽器にカバーをかける
ペット・観賞魚・植物は部屋の外へ出す
火災報知器とガス警報器を覆う
(霧タイプ)ガスの種火を消し、元栓を閉める

準備に使う道具は、大きめのポリ袋、新聞紙か古いシーツ、養生テープの3つです。
冷蔵庫の中の食品はそのままで、冷蔵庫の上や流しの横に出しっぱなしの食品と食器、扉を開けておく棚の中の食器に、袋や新聞紙をかぶせます。

当日の流れと、終わったあと
床のほぼ中央に置き、タイプごとの方法で始めます。
マッチやライターは使いません。
煙や霧が出始めたら部屋を出て、表示の時間のあいだ閉め切ります。
煙・水タイプなら2〜3時間、霧タイプなら1時間が目安なので、その間の外出先を決めます。
ワンルームや1Kは家全体を閉め切ることになるので、買い物や用事をこの時間にまとめて、家の外で過ごします。
入るときは口をタオルなどで覆い、玄関から順に窓を開け、換気扇も回します。
換気は30分〜1時間ほどを目安に、においが気にならなくなるまで続けます。
煙や霧に触れた食器は、水洗いしてから使います。
床に出てきた虫は掃除機で吸わず、手袋をしてティッシュでつまみ、袋に入れて捨ててから掃除機をかけます。
報知器のカバーを外すのも、この段階で済ませます。
卵には薬剤が効かないので、卵がかえるころにもう一度使うよう案内している商品があります。

使い終えた缶や容器は、住んでいる市区町村の分け方で捨てます。
自治体の案内で読む欄は、「殺虫剤のスプレー缶の捨て方と保管、使い切れなかったときの考え方と、子どもの手の届かない置き場所」で取り上げています。
使う時期は、暖かくなる前か、引っ越しの前
くん煙剤を使う時期として考えやすいのは、暖かくなって虫が動き出す前の春先と、家具を運び入れる前の空室です。
春先に使うなら、室内の毒餌の入れ替えや、玄関・ベランダへの屋外用の毒餌の設置と同じ時期にまとめると、1年の対策の起点がそろいます。
毒餌をこれから置く家は、くん煙剤を使って換気と掃除を終えてから置く順にします。
毒餌の選び方と置き方は、「ブラックキャップとコンバットの違い、毒餌剤の置き場所と使い方・交換の目安」で場所ごとに書いています。
ペットや観賞魚がいる家で、商品ごとに違うところ
観賞魚は、買う前に表示を読む
観賞魚の扱いは、商品によって大きく違います。
水槽のある部屋では使えず、外に出した水槽も使った部屋へ3日間は戻さない、動かせない水槽があるなら隣の部屋でも使わない、と決めている商品があります。
一方で、エアーポンプを止めて水槽を完全に覆う、という条件で使える商品もあります。
動かせない大きな水槽がある家は、売り場で箱の「観賞魚」の欄を読んでから買うかどうかを決めます。
犬・猫・小鳥・植物は、換気と掃除が終わるまで外へ
犬や猫、小鳥、ケージの小動物、観葉植物は、使う部屋の外に出し、戻すのは換気と掃除が終わってからです。
煙や霧がかかってしまった、戻したあとに様子がおかしい、と感じたら、獣医に相談します。
家族と動物の行き先の決め方は、「ペット・赤ちゃんがいる家の殺虫剤とバルサンの使い方、使う前の準備と避けたい置き方」で段取りを追っています。
賃貸・集合住宅で使う前に

くん煙剤は、使う部屋や家の外へ薬剤が漏れないように使う前提の道具です。
共用の廊下に面した換気口や、ドアの下のすき間が大きい部屋では、内側から養生テープで一時的にふさぎ、終わったらはがすと、廊下側へ出ていく煙を減らせます。
使う前に、よく出てくる確認
赤ちゃんがいる家は? 換気が終わってから掃除機をかけ、子どもが触れそうな場所や、煙がかかったおもちゃを乾いた布で拭いてから部屋に戻ります。
家族のだれかが家から出られない日は? 使う部屋からいちばん離れた部屋で、窓を開けて換気できることを条件にしている商品があります。
条件が書かれていない商品は、パッケージにある相談窓口に聞いてから使います。
布団は外に出す? 部屋に残すなら、たたんでポリ袋や大きな布で覆います。
2回目はどう選ぶ? 1回目と同じく部屋の広さに合う物を選び、同じ準備で使います。
くん煙剤を買う前に決めておくのは、商品より日付です。
閉め切りと換気で半日、その2〜3週間後にもう半日、家族と動物が外に出られる日を2つ、カレンダーに入れてから売り場に行きます。





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