買い置きのパスタの袋に、針で突いたような小さな穴があいていて、棚の奥に赤茶色の粒のような虫が数匹いる。
この場面で最初にすることは2つで、虫の出ている食品を袋ごと閉じて処分することと、棚に残った開封済みの食品を密閉容器に移すことです。

台所や食品の棚に出る小さな虫は、主にシバンムシ、コクゾウムシ、チャタテムシの3つです。
見た目と出る場所で見分けがつけば、買う道具も絞れます。
小さくて見分けにくいときは、セロハンテープで1匹取って白い紙に貼り、明るい所で色と形を見ると分かりやすくなります。
赤茶色で丸ければシバンムシ、黒っぽくて口先が伸びていればコクゾウムシ、白っぽくて紙の上をすばやく動き回るならチャタテムシの見当です。
3つの虫の見分け方と、まず使う道具
| 虫 | 見た目 | よく出る場所 | まず使う道具 |
|---|---|---|---|
| シバンムシ | 1.5〜3mmほど、赤褐色で丸みのある体 | 小麦粉、乾麺、菓子、香辛料、ペットフード、畳 | 密閉容器、シバンムシ用のトラップ |
| コクゾウムシ | 米粒より小さい黒褐色、口先が細長く伸びる | 米びつ、袋に入れたままの米 | 米びつ用の防虫剤、冷蔵庫での保管 |
| チャタテムシ | 1mmほど、白っぽい〜薄い茶色で羽がない | 湿気のこもる棚、畳、本棚、壁紙 | 除湿剤、除湿機、換気 |
シバンムシはあごが強く、紙袋や薄いビニール袋を食い破って中に入ります。
口を輪ゴムで留めただけの袋は、すでに中に入られていることがあります。
チャタテムシは食品そのものより、湿気で生えたカビや、食べこぼし、本の糊などを食べて増えます。
そのため、チャタテムシには食品を移すより、湿気を減らす道具が先になります。
カツオブシムシという虫も乾物や鰹節につきますが、こちらは衣類の虫食いの原因にもなる虫で、「衣類の虫食い対策、カツオブシムシの見分けと防虫剤の種類・クローゼットとタンスでの入れ方」で扱っています。
見つけた日にやること
棚の物を全部出して、袋の穴や、粉の中に虫がいないかを1つずつ確かめます。
見つけた食品は、ポリ袋に入れて口を縛り、自治体の分け方に従って出します。
食べられるかどうか迷う食品は、ためらうなら処分します。
棚の隅にたまった粉やくずを掃除機で吸い、固く絞った布で拭いて、よく乾かします。
開封済みの粉類や乾麺、菓子は、パッキン付きの密閉容器に入れ替えます。
シバンムシなら、棚にトラップを置いて、捕れる数が減っていくかを見ます。
食品が入ったままの棚や、食器棚の中に殺虫スプレーを吹きつける
衣類用の防虫剤を、食品の棚や米びつの近くに置く
虫のついた食品を袋に入れずに、台所のごみ箱へそのまま捨てる
食品や食器に薬剤がかかるおそれのある使い方は避けます。
衣類用の防虫剤は、食品と一緒に保管しないよう注意が書かれている物です。
道具の選び方
密閉容器は、パッキン付きで硬い素材を選ぶ
シバンムシに袋を破られないようにするには、硬い容器に入れ替えるのが、まず取りたい備えです。
ふたにパッキンがついていて、ガラスか硬いプラスチック、金属の容器を選びます。
粉類は使う量に合わせて小さめの容器に分けておくと、開け閉めの回数が減り、一度に全部を捨てる事態も防げます。
中身が見える透明の容器なら、虫がいないかを外から確かめられます。
容器は、入れる物の形で選ぶと使いやすくなります。
- 小麦粉・片栗粉: 計量スプーンが入る、口の広い容器
- パスタ・そうめん: 長さがそのまま入る、細長い容器
- 菓子・ナッツ: 小分けにできる、小さめの容器を数個
- ペットフード: 袋ごと入る大きめのフードストッカー

湿気が気になる物は、食品用の乾燥剤を一緒に入れておくと、湿気によるカビも防ぎやすくなります。
シバンムシ用のトラップは、発生を早く知るための道具
シバンムシ用のトラップは、においでシバンムシのオスを寄せて、粘着面で捕る道具です。
メスや幼虫は捕れないので、トラップだけで食品の虫をなくすことはできません。
食品の棚や押し入れに置いておくと、捕れた数で、まだ発生しているかどうかの見当がつきます。
捕れる数が減らないときは、まだどこかの食品か畳に発生源が残っているサインです。
置く場所は、食品の棚、乾物をしまう引き出しの近く、畳の部屋の隅が目安です。
有効期間は商品ごとに表示があるので、置いた日をトラップに書いておくと、替えどきが分かります。
除湿は、チャタテムシとカビの両方に効く
湿気は、チャタテムシにもシバンムシにも、エサになるカビにも都合のよい環境です。
シバンムシ対策では、部屋の湿度を50%ほどに保つことがすすめられています。
流しの下や食品庫には置き型の除湿剤、部屋全体の湿気には除湿機、と広さで使い分けます。
湿度計を1つ置いておくと、除湿機を動かすかどうかの目安になります。

除湿剤には、水がたまるタンク型、吊るすタイプ、引き出しに敷くシート型があります。
流しの下や食品庫の床にはタンク型、棚の引き出しにはシート型、と置く場所の形で選びます。
タンク型は、たまった水を倒してこぼすと棚が濡れるので、奥の平らな場所に置きます。
駆除スプレーは、食品を出した後の棚に
虫が出た棚にスプレーを使うなら、食品と食器を全部出してから、使える場所を商品の表示で確かめて使います。
使った後は、換気をしてよく拭き取り、乾いてから食品を戻します。
選ぶときは、対象の虫に、シバンムシなど食品の棚に出る虫が書かれているかと、屋内の棚に使えるかを表示で見ます。
棚の角や引き出しのレールなど、細かいすき間にも届くノズル付きの物だと、虫の隠れやすい場所まで使えます。
スプレーはあくまで出た虫を減らす道具で、発生源の食品が残っているかぎり、何度使っても虫は出続けます。
出た場所ごとの対策
米びつにコクゾウムシが出たとき
米びつは、中の米を出して洗い、よく乾かしてから使い直します。
米は温度が低いと虫がつきにくいので、ペットボトルや密閉袋に移して冷蔵庫の野菜室に入れると、夏場も虫の心配が減ります。

米びつに入れる防虫剤は、米びつ用として売られている物を選びます。
米びつを買い替えるなら、ふたがしっかり閉まって、丸ごと水洗いできる物が手入れしやすく、虫が出たときもすぐに洗えます。
米を袋のまま入れるタイプより、米を直接入れて底まで使い切れる物のほうが、古い米が底に残りにくくなります。
乾燥した唐辛子を入れておく方法もありますが、効き目は強くなく、1か月ほどで薄れていくので、補助と考えます。
お米の保存方法そのものより、ここでは虫を寄せない道具として、米びつ用の防虫剤と冷蔵庫での保管を組み合わせます。
小麦粉・乾麺・お菓子の棚
粉や乾麺は、開封後に袋のまま棚に戻すのが、シバンムシが入りこむよくあるきっかけになります。
買い置きの量を減らし、開けた物から密閉容器へ移す習慣にすると、虫が出ても被害が広がりにくくなります。
シバンムシは香辛料やペットフード、殺鼠剤にもつくので、台所以外の棚もあわせて確かめます。
ペットフード・香辛料・常備薬の棚
ドライのペットフードは大袋で買うことが多く、開けてから食べ切るまでの期間が長いので、シバンムシのすみかになりやすい食品です。
袋の口をクリップで留めるだけにせず、フードストッカーに移し、1か月ほどで食べ切れる大きさの袋を選ぶと、古いフードが残りにくくなります。
香辛料や乾燥ハーブ、漢方薬のような生薬も、シバンムシのエサになります。
使う回数の少ない瓶や袋ほど棚の奥に残りやすいので、点検のときは調味料の棚や薬箱の中も開けてみます。
畳・本棚・壁際のチャタテムシ
畳や本棚に出るチャタテムシは、窓を開けて風を通し、除湿機で湿気を減らすのが基本の対策です。
冬は窓の結露を拭き取ることも、湿気をためない手入れになります。
畳の目に沿って掃除機をかけますが、畳にカビが生えている場合は、カビを舞い上げるおそれがあるので掃除機をかけません。
畳から虫が出続けるときは、畳店に頼む熱処理(有料)もあります。
チャタテムシが増えると、それを食べるツメダニが増えることもあり、寝具のダニ対策も合わせて考えます。
虫が出にくい棚にするための、ふだんの置き方
食品の虫は、古い食品が棚の奥に残っているほど増えやすくなります。
- 買った日を容器や袋に書き、古い物を手前に置く
- 段ボール箱のまま食品をしまわない(すき間に虫が入りこみ、湿気も吸う)
- 床に直接置かず、すのこや棚の上に置く
- 月に1回ほど、棚を空にして奥まで拭く
贈答品の菓子や乾物は、もらったまま押し入れにしまいこむと、気づかないうちに虫の発生源になることがあります。
しまう場所を台所の棚にまとめておくと、点検のときに見落としが減ります。
食品の棚の近くで、小さな蜂を見かけたら
シバンムシが発生している家では、シバンムシの幼虫に寄生する小さな蜂(アリガタバチ)が出ることがあります。
アリガタバチは人を刺すことがあり、痛みや腫れが強いときは医療機関を受診します。
蜂を見かけたら、まずシバンムシの発生源になっている食品や畳を探して取り除きます。
棚を全部片づけたのに、またシバンムシが出てくるのはなぜ?
シバンムシは食品だけでなく、畳や、棚の奥に落ちた粉、ペットフードの袋の中でも増えます。
台所以外の部屋の乾物や、押し入れにしまった贈答品の菓子まで、家じゅうの発生源を探すと見つかることがあります。
食べられるかどうか迷う食品を、もったいないからと棚に戻すのが、虫が長引く原因になりがちです。
迷ったら処分して、空いた場所を密閉容器で埋めていくと、次に同じ棚を開けたときの不安が減ります。



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