「近づくのも、叩くのも無理。
でも、このまま寝るのも無理」
夜の台所で1匹を見つけた場面は、この2つの気持ちのあいだで道具を選ぶことになります。
目の前の1匹に使える道具は、殺虫スプレー、冷やして動きを止めるスプレー、粘着式の捕獲器の3つに分かれます。
どれを手に取るかは、「どこまで近づけるか」と「退治したあとの片づけを、どこまでやれるか」で決まります。
3つの道具を、近づく距離と後始末で比べる
| 道具 | 使い方 | 後始末 | 向かない場面 |
|---|---|---|---|
| 殺虫スプレー(ゴキジェットプロなど) | 離れた所から直接吹きかける | 動かなくなった虫を片づけ、薬剤がかかった床を拭く | 火の近く、食器や水槽・鳥かごのそば |
| 冷やすタイプのスプレー(凍らすジェットなど) | 50cm以内から直接吹きかける | ベタつきが残りにくい作り。動かなくなった虫を片づける | 床・壁・家具・建具の上にいる虫(かけられない面)、近づけない人 |
| 粘着式の捕獲器(ごきぶりホイホイなど) | 物陰に置いて待つ | 捕まえたら本体ごと捨てる | 今まさに目の前にいる1匹、子どもやペットが触れる床 |
近づきたくない人は、殺虫スプレーを1本と、粘着式の捕獲器をいくつか、という組み合わせが手の出しやすい形です。

冷やすタイプは近くから吹く必要があるぶん、虫との距離が縮まります。
ベタつきが残りにくい作りですが、床・壁・家具にはかけられないので、使える場面は限られます。
毒餌と比べたときの捕獲器の違いは、捕まったかどうかが目で見て分かることです。
見かけた場所に置いて、捕まる・捕まらないで通り道の見当がつけば、そのあと毒餌を置く場所も決めやすくなります。
殺虫スプレーを使うとき
1本選ぶときに見る表示
売り場のゴキブリ用スプレーは、見た目が似ていても、表示で見る所が2つあります。
- 区分: 防除用医薬部外品の物と、同じ名前で第2類医薬品として売られている物がある
- 効き方の説明: その場で動きを止めることをうたう物と、吹いた所に薬剤を残して、あとから通る虫にも効かせることをうたう物がある
夜中に出た1匹に使うのが目的なら、ノズルが付いていて、すき間に届く物を選ぶと、家具のすき間に逃げられたときに困りません。
吹いた所に薬剤を残すタイプは、通り道に帯のように吹いておく使い方が加わります。
医薬品のゴキジェットプロの場合、約20cm離して、1㎡あたり45〜60秒ほどが目安です。
この時間は1回で吹き切る長さではなく、40秒を超えて続けて吹かないよう、数回に区切って吹きます。
子どもやペットが触れる床や通る所には帯状に残さず、表示と使用上の注意に従います。
飲食物・食器・おもちゃ・寝具・家電にはかけない、家具や建具には直接吹かないといった決まりもあるので、吹いておく場所が家の中にあるかを、買う前に考えておきます。
吹きかける時間と、すき間に逃げたとき
ゴキジェットプロの表示では、小さいゴキブリなら約1〜2秒、大きいゴキブリなら約6〜8秒、直接吹きかけます。
すき間に逃げこんだら、すき間に向けて約1〜2秒吹き、出てきたところに同じ量をもう一度かけます。
付属の細いノズルを付けると、冷蔵庫の横や家具の裏のすき間に届きます。

冷蔵庫の裏のような狭いすき間はガスがたまりやすいので、吹く量を表示より増やしません。
火と、人やペットから離して使う
ガスコンロ、ストーブ、ファンヒーターなど火の近くでは使わない(火を止めたばかりで熱の残るコンロやヒーターのそばも避ける)
人やペットに向けて吹かない、噴き出したガスを吸いこまない
食器・食べ物・おもちゃ・観賞魚・小鳥・観葉植物・寝具・家電に薬剤がかからないようにする
40秒以上続けて吹かない
吹いている間は、ほかの家族をその部屋に入れず、終わったら窓を開けて換気します。
薬剤がかかった床は滑りやすくなるので、片づけの前に足元を拭きます。
家具や建具に直接かけると色が変わることがあるため、壁ぎわの1匹は、床に出てきたところを狙います。
冷やすタイプを選ぶとき
冷やすタイプは、吹きつけたときの冷たさで虫の動きを止める作りのスプレーです。
成分は商品で違い、化学合成の殺虫成分を使わず、ハッカ油を有効成分にしている物もあります。
ベタつきや薬剤の残りが少ない作りなので、薬剤の残りが気になる人の選択肢になります。
使うときは、食器と食べ物を先によけたうえで、虫だけに向けて吹きます。

ただし、吹きかけてよい面は殺虫スプレーよりずっと狭くなります。
凍らすジェットの表示では、床・壁・家具・建具・石材・塗装面にかけないことになっています(変色やシミのおそれがあるためです)。
床や壁にかけてはいけないと書かれている商品なので、虫が床・壁・家具の上にいるときは、殺虫スプレーか粘着式の捕獲器を使います。
表示どおりに使える場面が限られるぶん、買う前に、家のどこで出た1匹に使うつもりかを考えておくと、手に取ってから迷いません。
凍らすジェットの場合は50cm以内の近さから約3秒かける使い方で、離れた所からは届きにくいのも、選ぶ前に知っておきたい点です。
皮膚にかかると凍傷のおそれがあるので、素手の近くに吹かない、人やペットに向けない、の2つは殺虫スプレーと同じです。
粘着式の捕獲器を使うとき
置き場所は、見かけた場所の近くの物陰
スプレーを取りに行くあいだに見失った夜や、薬剤をまきたくない部屋で頼りになるのが、置いて待つ粘着式の捕獲器です。
においで誘って、中の粘着シートで捕まえる作りで、ごきぶりホイホイのように、誘う餌も粘着剤も薬剤を含まない物なら、殺虫剤を使いたくない部屋にも置けます。
置く場所は、台所・洗面所・浴室の脱衣所のような、見かけた場所の近くの暗くて狭い物陰です。
冷蔵庫の下のように低いすき間には、高さを低く組んで差しこめる物もあります。

1つだけで済ませず、一度に数か所に置きます。
子どもやペットが触れる床には置かず、家具の奥や扉付きの収納の中のような、手や鼻先の届かない物陰を選びます。
しばらく置いても何も捕まらなければ、置き場所を変えます。
置く前に、床の食べこぼしや生ごみを片づけ、捕獲器の餌のほかに食べる物を残さないようにします。
期間と、捨てるとき
ごきぶりホイホイの場合、粘着面の紙をはがしてから約1か月が目安です。
捕まえたら、中を見ずに本体ごと捨てられます。
つまむ所が付いた物なら、手を近づけずに袋へ入れられます。
粘着剤が手に付いたら、食用油でふき取ってから、石けんでよく洗います。
捨て方は、住んでいる市区町村の分け方に従います。
出た場所ごとの使い分け
| 出た場所 | 使いやすい道具 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 台所のコンロまわり | 殺虫スプレー | 火を止めて、火が消えたのを見てから吹く。余熱の残る五徳やガス口のすぐそばには向けない。食器と食べ物を先によける。冷やすタイプは、床・壁・家具にかけられないので使わない |
| 寝室・子ども部屋 | 殺虫スプレー | 寝具やおもちゃに薬剤をかけない。吹いたら換気してから寝る。捕獲器を足すなら、子どもの手が届かない家具の奥に |
| 浴室・洗面所 | 殺虫スプレー | 濡れた床で足を滑らせないよう、吹く前に足元を見る。吹いたら窓を開けるか換気扇を回す |
| 水槽や鳥かごのある部屋 | 粘着式の捕獲器 | 同じ部屋では、スプレーより粘着式の捕獲器を先にする。鳥かごや小動物のケージは、スプレーを使う前に部屋の外へ出す。動かせない水槽がある部屋では、スプレーは使わず捕獲器だけにする |
冷やすタイプも、噴き出したガスが火やヒーターに触れると有毒なガスが出るおそれがあると表示にあります。
火のそばで使わない点は、殺虫スプレーと同じです。
スプレーが手元にない、見失ったとき
スプレーがないときは、浴室用の洗剤のような、界面活性剤を含む洗剤を直接かける方法があります。
洗剤の成分が、体の表面にある呼吸のための穴をふさぐためです。
かけた虫はやがて動かなくなりますが、気絶しているだけのこともあるので、手袋をしてすぐに包み、ポリ袋に入れます。
洗剤の容器に書かれた使い方ではないので、スプレーも捕獲器も手元にない夜の、その場しのぎにとどめます。
台所で使うときは、食器や食べ物から離れた所で、虫にだけかけます。
洗剤をかけた床はかなり滑るので、片づけたあとに水拭きと乾拭きをします。
家具の裏などに逃げて見失ったら、夜中に家具を動かして追いかけるより、逃げこんだすき間の近くに捕獲器を置いて、その夜は終わりにするほうが、けがも散らかりも少なく済みます。
退治したあとの片づけ
掃除機で吸い取る(本体の中が汚れるうえ、卵が残っていた場合に中で生き残ることがある)
素手でつかむ
殺虫スプレーをかけ続けて、動かなくなるまで追いかける(40秒以上の連続噴射になりやすい)
動かなくなった虫は、使い捨ての手袋をして、ティッシュや新聞紙で包み、ポリ袋に入れて口を縛ります。
その場所の床をもう一度拭いて、片づけは終わりです。

夜中に慌てないよう、台所の近くの同じ場所にまとめておく物
殺虫スプレー1本(火のそばと、日の当たる窓辺は避ける)
使い捨ての手袋と、ポリ袋を数枚
ティッシュか新聞紙
家族やペットと暮らす家での選び分け
水槽や鳥かごのある部屋では、粘着式の捕獲器を先に使います。
捕獲器をふだんから置いて受けておくと、慌てて吹く場面を減らせます。
鳥かごや小動物のケージは持ち運べるので、殺虫スプレーや冷やすタイプを使うなら、先に部屋の外へ出します。
水を張ったままの大きな水槽は簡単には動かせないので、動かせない水槽がある部屋では、スプレーは使わず、捕獲器だけで受けます。
小さな子どもや、床のものを口に入れる犬や猫がいる家では、捕獲器は家具の奥や、扉付きの収納の中のように、手や鼻先の届かない所に置きます。

動物と子どもがいる部屋でスプレーを使う前の段取りは、「ペット・赤ちゃんがいる家の殺虫剤とバルサンの使い方、使う前の準備と避けたい置き方」にまとめています。
今夜の1匹は、手元にある道具で片づければ十分です。
見かけた場所をスマホのメモに1行残しておけば、明日、毒餌か捕獲器を1つ置く物陰を選ぶときに迷いません。
毒餌の置き場所は「ブラックキャップとコンバットの違い、毒餌剤の置き場所と使い方・交換の目安」、道具をそろえる順番は「ゴキブリ対策の始め方、毒餌・くん煙剤・スプレー・侵入防止を使う順番と置く場所」で扱っています。






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