リビングで犬が昼寝をしていて、棚の上には金魚の水槽、床では1歳の子どもがおもちゃを広げている。
こんな家で殺虫剤を使うとき、最初に決めるのは、どの商品を買うかより、使う部屋にだれがいて、使っている間どこへ移ってもらうかです。
道具ごとの注意は、犬や猫、小鳥、観賞魚、小さな動物、赤ちゃんで、それぞれ見るところが違います。
犬が大丈夫そうだから金魚も大丈夫、とはいえないのが、この話のむずかしいところです。

一緒に暮らす家族と動物で、注意の向け方が変わる
| 道具 | 犬・猫 | 小鳥 | 観賞魚・水の生き物 | ハムスター・爬虫類・飼っている昆虫 | 赤ちゃん・幼児 |
|---|---|---|---|---|---|
| エアゾール(スプレー) | 体や食器、フードに向けない。使う間は別の部屋へ | 使う部屋から出す | 水槽のある部屋で吹かない | ケージごと別の部屋へ | 手の届く所に缶を置かない |
| くん煙剤 | 部屋の外へ。換気と掃除が終わってから戻す | 部屋の外へ | 部屋の外へ。動かせない水槽は表示の方法で覆う | ケージごと部屋の外へ | 大人と一緒に外へ。おもちゃはしまうか覆う |
| 置き型の毒餌 | 床に置かず、届かない場所だけ | 放鳥する部屋に置かない | (水槽まわりには置かない) | 部屋で遊ばせる範囲に置かない | 家具の裏や高い所など、手の届かない場所だけ |
| 蚊取り(線香・電気式) | 熱くなる器具に触れない場所に | 心配なら獣医に相談 | 観賞魚のいる部屋で使わないよう表示した商品がある | 飼っている昆虫のいる部屋で使わないよう表示した商品がある | 熱くなる器具は手の届かない所へ |
| 粘着トラップ | 毛や足がくっつくので、入らない場所に | 放鳥する部屋の床に置かない | 水槽の脇には置かない | 遊ばせる範囲に置かない | 手や髪がくっつくので床に置かない |
表の中身は、多くの商品に共通する考え方です。
実際に使う商品の表示と食い違ったときは、表示のほうに従います。
犬と猫は、床と、なめることに気をつける
床や家具の上に見慣れない物があると、犬や猫はにおいをかぎ、なめたり口に入れたりして確かめます。
置き場所は、これを前提に決めます。
犬の中毒の相談のうち、家庭用の殺虫剤や殺鼠剤が原因だったものは、9割以上が毒餌(ベイト剤)の誤食です。
毒餌は「見えない場所」ではなく、「犬や猫が入れない場所」に置きます。
スプレーを使った床は、ペットを戻す前に拭くと、足や毛についた薬剤をなめる心配を減らせます。
猫は高い棚の上にも上がるので、毒餌や缶を棚の上に置いても届かない場所とはかぎりません。
散歩の前に、人用の虫除けスプレーを犬の体に吹きかけるのはやめます。
犬や猫の体に使う虫よけは、動物用として売られている物の中から、獣医に相談して選びます。
小鳥・観賞魚・小さな動物は、犬猫と分けて考える
同じ薬剤でも、小鳥や魚、爬虫類、ハムスター、飼っている昆虫が受ける影響は、犬や猫と同じとはいえません。
くん煙剤を使うときは、部屋の外に出すのが基本で、水槽を動かせないときの覆い方も商品ごとに書かれています。
犬猫向けに作られた蚊取り線香でも、観賞魚や飼っている昆虫のいる部屋では使わないよう表示されているものがあります。
表示に飼っている動物の名前が出てこないときは、使う前にかかりつけの獣医に相談します。
小鳥を部屋に放している時間や、ハムスターを部屋で遊ばせている時間は、スプレーも蚊取りも使わない時間と決めます。
赤ちゃんと妊娠中の人は、手の届く範囲と、心配なときの相談先を決める
はいはいやつかまり立ちの時期は、床から手の届く高さまでが全部、赤ちゃんの手の届く範囲です。
毒餌の容器や粘着トラップは口に入れたり手にくっついたりするので、置くなら家具の奥や裏など、手を入れられない場所にします。
スプレーやくん煙剤を使う間は、赤ちゃんも大人と一緒に部屋を離れます。
部屋に戻ったら、まず赤ちゃんがはう床と、手をつくローテーブルを水拭きします。

妊娠中の人が殺虫剤を使うことに不安があるときは、医師か薬剤師に相談してから使うかどうかを決めます。
くん煙剤(バルサンなど)を使う日の準備
部屋全体に煙や霧を広げるくん煙剤は、動物と子どもがいる家ほど、使う前の段取りで準備の量が変わります。
部屋を閉め切る時間と、その後の換気の時間は、商品ごとに表示されています。
閉め切る時間と換気の時間を足した分、家族と動物が外出するか、別の部屋で過ごせる日を選びます。
犬や猫は、家族と一緒に出かけるか、その時間だけ預け先を探しておきます。
犬や猫、小鳥、ケージの小動物、観葉植物を部屋の外へ出し、ペットフードもふたのある容器か別の部屋へ移します。
水槽を動かせないときは、商品の表示にある方法で、すき間なく覆います。
出しっぱなしの食品と食器は、冷蔵庫や扉のある棚にしまうか、袋をかぶせます。
子どものおもちゃや、ペットのおもちゃも、箱にしまうか覆います。
煙や霧に反応する報知器は、付属のカバーなどで覆います。
集合住宅では、管理会社に使う日を伝え、報知器の扱いを確かめてからにします。
表示の時間がたったら、窓を開けて換気し、床に掃除機をかけます。
動物と植物を戻すのは、換気と掃除が終わってからです。

煙・水・霧のタイプの違いや、賃貸での注意については、「バルサンの使い方と準備、煙・水・霧タイプの違いと、火災報知器・ペット・賃貸での注意」の記事も用意しています。
その場で使うスプレーと、寝室の蚊取り
くん煙剤のように準備する日を決める道具と違い、スプレーや蚊取りは、虫を見たその場や、毎晩くり返し使う道具です。
毎日使う道具ほど、置き場所と使う部屋を先に決めておくと、慌てた場面でも同じ手順で動けます。
見つけた1匹にスプレーを使うとき
夜の台所で虫を見つけたとき、足元に犬や猫が寄ってくることがあります。
吹きつける前に、次の3つだけ済ませます。
- ペットと子どもを、その部屋から出す(ドアを閉められるなら閉める)
- 床に出ているペットの食器やフード、子どものおもちゃを片づける
- 吹きつけた後は窓を開け、床に落ちた薬剤を拭いてから部屋に戻す
缶は、使った後にその場に置きっぱなしにしないことも、あわせて決めます。
戻す場所は、子どもの手が届かず、ペットが倒さない扉付きの収納にします。
寝室で電気式の蚊取りを使うとき
赤ちゃんと同じ部屋で蚊取りを使うなら、器具を置く場所から決めます。
電気式の器具は、使っている間に上の部分や蒸散口が熱くなるものがあり、子どもが触れたり指を入れたりしないよう表示されています。
ベビーベッドの柵の外で、手の届かない棚の上やコンセントの高い位置を選びます。

閉め切った部屋や狭い部屋では、ときどき換気するよう書かれた商品もあるので、寝る前と朝に窓を少し開ける習慣とセットにします。
寝室とリビングでの置き方の違いは、「蚊取り線香と電子蚊取り(ノーマット・ベープ)の使い分け、寝室・リビングでの置き方」の記事があります。
避けたい置き方と使い方
毒餌を、床の真ん中や、ペットの寝床・食器のそばに置く
粘着トラップを、犬猫や子どもが入る部屋の床に置いたままにする
スプレーを、人や動物、食品、食器に向けて使う
水槽のある部屋で、覆いをしないままスプレーやくん煙剤を使う
使いかけの缶や毒餌の予備を、子どもの手が届く棚に置く
置くなら、家具の裏とすき間の奥(ペットの体が入らない所だけ)
毒餌の置き場所の候補になるのは、虫は通れても、子どもの手が入りにくい家具の裏やすき間の奥です。
ペットのいない家なら、冷蔵庫や食器棚の裏、洗濯機の下のすき間の奥が候補になります。
ただし、猫や小型犬は、冷蔵庫の裏や家具のすき間にも鼻先や前足を入れることがあります。
ペットがいる家では、置く前に家具の下や裏をのぞいて、鼻先や前足が入るすき間がないかを目で確かめます。

入るすき間があれば、そこには置きません。
どうしても置くなら容器ごと動かないように固定するか、置き型は使わずに、入口をふさぐ道具や捕る道具に切り替えます。
置き型の毒餌には、中身に指が触れにくい容器に入った商品もあります。
置いた場所と日付をメモに残すと、取り替えや片づけのときに置き忘れが出ません。
引っ越しや模様替えで家具を動かすときは、裏に置いた毒餌を先に回収します。
薬剤を減らしたい家で選びやすい道具
薬剤そのものを減らしたいときは、虫を入れない道具と、捕る道具に重心を移します。
- 網戸の破れの補修、窓やドアの隙間テープ
- 排水口のネットやふた、生ごみを入れるふた付きのごみ箱
- においで誘って閉じこめる、容器型のコバエ取り
入口をふさぐ道具の選び方は、「虫を家に入れない防虫グッズの選び方、防虫ネット・隙間テープ・網戸スプレー・吊るす虫よけの場所別」も参考にしてください。
ネズミの道具を子どもやペットのいる家でどう置くかは、「ネズミ取りの選び方、粘着シート・捕獲器の違いと、置く場所と捕まえた後の処理」でも触れています。
口に入れた、様子が変だと思ったら
子どもやペットが毒餌をかじった、スプレーを吸いこんだようだ、使った後に様子がいつもと違う、というときは、商品のパッケージを手元に持って、医師・獣医・中毒110番などの相談窓口に相談します。
パッケージには成分と、受診するときに伝えることが書かれています。
慌てないためにも、使い終えたパッケージは、毒餌を片づけるまで捨てずに取っておくと、いざというときに成分を伝えられます。
使う前に表示を読んで、一緒に暮らしている動物の名前がどこにも出てこない商品は、売り場でその場で決めないことです。
獣医か、パッケージに書かれた商品の相談窓口に一度聞いてから、使うかどうかを決めます。




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