「ハッカ油をスプレーしたら、ベランダの虫が来なくなった」という投稿を見て、ドラッグストアでハッカ油の小瓶を手に取る。
すっとする香りで、肌にも家具にも使えそうに見えます。
ハッカ油・超音波・吊るす虫除けは、どれも「補助」の道具です。
網戸の破れやドアのすき間が開いたままでは、補助だけで虫の出入りは止まりません。
入口をふさぎ、虫に合った殺虫剤や虫除けを決めたうえで、においや場所の弱いところを足す使い方が向いています。
手軽で、薬剤のにおいが少なく見えるぶん、これ1つで済ませたくなるのが、この3つの道具の落とし穴です。

効き目の感じ方には差があり、家の造りや風の通り方でも変わります。
3つの道具の使いどころと限界
| 道具 | 使いどころ | 限界 | 一緒に使う物 |
|---|---|---|---|
| ハッカ油のスプレー | 網戸のまわり、玄関、ごみ箱のふたの裏など、においを足したい所 | 香りは時間がたつと薄れ、こまめに吹き直す必要がある | 網戸の補修、隙間テープ、虫に合った殺虫剤 |
| 超音波の機器 | 薬剤やにおいを使いたくない部屋の補助 | 音は家具や壁でさえぎられ、効き目を家の中で確かめにくい | すき間をふさぐ道具、捕るトラップ |
| 吊るす・置くタイプ | 玄関やベランダの出入り口の補助 | 対象害虫が限られ、表示された使用の目安(広さ・期間)の外では当てにできない | 網戸・防虫ネット、蚊には蚊取りや肌用の虫除け |
3つとも「虫を入れない」「退治する」道具の代わりではなく、それに足す道具です。
買う順番にすると、次のようになります。
- 網戸の破れ、窓やドアのすき間をふさぐ補修シート・隙間テープ
- 困っている虫の名前が対象害虫に書かれた、本命の殺虫剤・虫除け
- においや場所の弱いところに足す、ハッカ油・超音波・吊るすタイプ
3番目から買い始めると、1番と2番が抜けたまま、効いているのかどうか分からない状態が続きます。
ハッカ油は、スプレーボトル選びで失敗しない
原液の小瓶か、できあがったスプレーか
売り場には、原液の小瓶と、最初からスプレー容器に入ったハッカ油の両方があります。
網戸や玄関に毎日のように吹くなら、原液を買って自分で薄めるほうが、使う量を調整できます。
外出先で首まわりにひと吹きしたい、容器の素材を調べるのが面倒、という人は、できあがった物のほうが迷いません。
どちらも用途の書かれた表示を見て、肌に使えるか、部屋に使う物かを確かめてから選びます。
作り方は短く、容器の素材を先に確かめる
ハッカ油のスプレーは、無水エタノールにハッカ油を溶かし、水で薄めて作ります。
分量は、買ったハッカ油の容器や販売元の案内にある量に合わせます。
ボトル選びで気をつけたいのは素材です。
ハッカ油はポリスチレン(PS)を溶かすので、「PS」と表示された容器は使えません。
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)の表示がある物か、素材が分からなければガラスのボトルを選びます。

作った分は、香りが薄れる前に使い切れる量にとどめ、作った日をボトルに書いておきます。
吹きかける前に、場所の素材を見る
網戸のサッシや冷蔵庫のトレーなど、家の中にもポリスチレンの部品があります。
床や家具、大理石は、素材によっては色が変わるので、目立たない所で試してから広げます。
原液をそのまま肌につけるのは避け、目や鼻、傷口につかないようにします。
肌に使う場合は、ハッカ油の表示にある使い方と量を守り、肌に合うか心配なときは薬剤師などに相談します。
ハッカ油を火のそばや、日の当たる窓辺に置きっぱなしにしないことも決めておきます。
引火のおそれがあり、明るく暖かい場所では品質も変わります。
レモングラスなど、ほかのアロマの虫除けも同じ考え方
ハッカ油のほかにも、レモングラスやゼラニウムなどの精油を使った「アロマの虫除け」が売られています。
医薬品や医薬部外品の表示がなく、対象害虫の欄もない商品は、どの虫に効くかを示していない商品です。
香りを楽しみながら補助として使う物と考え、蚊の多い場所に出かけるときは、肌用の虫除けを別に用意します。
肌用の虫除けを成分で選ぶなら、「虫除けスプレーの選び方、イカリジンとディートの違いと、屋外・衣類・キャンプでの使い分け」の記事が手がかりになります。
超音波の虫除けは、置き場所を選ぶ補助
超音波の虫除けは、買う価値がある?
薬剤もにおいも使いたくない部屋に、補助として足すなら選択肢になります。
ただし、音は家具や壁でさえぎられ、効き目を家の中で確かめにくいので、これだけで済ませる道具にはしません。
コンセントに挿すだけの手軽さが、超音波の機器のいちばんの良さです。
置くなら、音をさえぎる家具の少ない、虫が入ってくる方向に向けた場所を選びます。
ハムスターやモルモットなど、小さな動物のいる部屋で使わないよう表示している商品があります。
動物を飼っている家は、買う前に使えない部屋の条件を表示で確かめます。
売り場では、使える広さ(畳数)と、虫用かネズミ用かの2つも見ておきます。
見た目がよく似ていても対象にしている相手が違うので、ネズミ用か虫用かはここで見分けます。
ネズミ向けの超音波の使いどころは、「ネズミ駆除を自分でやる前に、忌避剤・超音波・ネズミ取りの違いと、侵入口のふさぎ方・業者に任せる線引き」に、ほかの道具と並べて書いています。
吊るす虫除けは、裏面の対象害虫と使用の目安で選ぶ
2015年2月、ベランダなどに吊り下げて使う虫よけ商品のパッケージ表示について、消費者庁が販売事業者4社に措置命令を出しました。
問題とされたのは、吊り下げるだけで、表示された範囲と期間にわたってユスリカやチョウバエを寄せつけないかのような表示に、裏付けとなる合理的な根拠が示されなかったことです。
対象は4社合わせて30商品で、景品表示法の優良誤認にあたるとされました。
買う前に、裏面で見る3つ
吊るすタイプを選ぶときは、パッケージの表より裏面を見ます。
- 対象害虫: ユスリカ・チョウバエなどの名前が並び、蚊が入っていない商品もある
- 使用の目安: 広さや期間の表示が、吊るしたい場所に合っているか
- 吊るす場所の指定: 屋内と屋外の境目など、使う場所が書かれているか

蚊に困っているなら、吊るすタイプより、蚊取りや肌用の虫除けを先に決めます。
腕や服につけるタイプも、補助として扱う
吊るすタイプに近いものに、腕に巻くリングや服に貼るシールなど、身につける虫除けもあります。
こちらも、医薬品・医薬部外品の表示と対象害虫の欄があるかどうかで、何をうたう商品なのかが分かれます。
屋外で長い時間過ごす日は、身につけるタイプだけに任せず、肌用の虫除けを合わせます。
吊るした日や貼った日は、パッケージに書かれた期間と一緒にカレンダーにメモしておき、期限が過ぎた物はつけっぱなしにしません。
場所ごとの組み合わせ方
玄関は、吊るす前にドア下のすき間を見る
夜、玄関の明かりをつけたままドアを開け閉めすると、明かりに寄ってきた虫が一緒に入ってきます。
ドアの下や郵便受けのすき間をテープでふさぎ、出入りは手早くしたうえで、吊るすタイプやハッカ油を足します。
ハッカ油を玄関で使うなら、ドアの外側の枠や、靴箱の外側など、人の手や足が直接触れにくい所に吹きます。
床に吹くと、素材によっては色が変わったり、すべったりするので、玄関のたたきや廊下の床には吹かないでおきます。
網戸と窓は、破れの補修が先
指先ほどの破れでも、小さな虫は通り抜けます。
網戸の破れは補修シートで、サッシとの間のすき間は隙間テープでふさげます。

ハッカ油を吹くのは、すき間が埋まった後の網戸の外側にして、サッシの素材も確かめておきます。
網戸用の虫除けスプレーや防虫ネットの選び方は、「虫を家に入れない防虫グッズの選び方、防虫ネット・隙間テープ・網戸スプレー・吊るす虫よけの場所別」が参考になります。
ごみ箱と台所は、捕る道具を本命に
生ごみのにおいに寄るコバエには、においで遠ざけるより、ふた付きのごみ箱と、誘って閉じこめるコバエ取りが本命です。
ハッカ油は、ごみ箱のふたの裏をさっと拭く程度の補助にとどめます。

食品や食器、調理台に直接吹きかけるのはやめておきます。
コバエの種類ごとの道具選びは、「コバエの種類(チョウバエ・ショウジョウバエ・ノミバエ・キノコバエ)の見分け方と、発生源別に選ぶ道具」を合わせて読んでください。
猫や小さな子どもがいる家で気をつけること
猫は、ハッカ油などの精油の成分が体の負担になる可能性があるため、猫のいる部屋ではハッカ油を使いません。
犬や小鳥、小さな動物と暮らす家でも、使う前に獣医に相談します。
子どもが誤って口にしないよう、ハッカ油の瓶と作ったスプレーは手の届かない場所にしまいます。
口に入れた、目に入ったなどのときは、医師や中毒の相談窓口に相談します。
「天然由来だから」と思うと注意が薄れがちですが、におうほど濃い物は、動物や小さな子どもにとっても刺激になると考えておきます。
ハッカ油を買う前に、網戸の破れと、玄関ドアの下のすき間を一度見てください。
すき間が埋まっているなら、補助として1本。
開いたままなら、ハッカ油は後回しにして、先に補修シートと隙間テープを買います。




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