夜11時を過ぎて寝室の明かりを消したころ、天井の上を小さな足が走り回るような音がして、しばらくすると止まる。
最初にそろえるのは、追い出す道具(忌避剤)と、入口をふさぐ道具(パテ・金網・ステンレスたわし)の2つです。
ネズミ取りは、通り道が分かってから足すと、置く場所で迷いません。
天井裏や床下に入らないと手が届かない場合は、自分で作業せず、管理会社や業者に相談します。

ネズミの道具は、忌避剤・超音波・におい・ネズミ取りの4つに分かれ、どれも得意な場面が違います。
選ぶ手がかりになるのは、気配がどこでするか、家にだれが住んでいるか、自分でどこまで手を入れられるかの3つです。
物音や糞の場所で、相手と道具の見当をつける
家に入りこむネズミは、主にクマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミの3種類です。
姿を見なくても、気配のする場所で、どの種類か、どの道具から始めるかの見当がつきます。
| 気配のする場所 | 疑う相手 | 最初に用意する物 |
|---|---|---|
| 天井裏・壁の中で足音 | クマネズミ | 忌避剤、侵入口をふさぐ材料 |
| 台所の床・流しの下・床下 | ドブネズミ | 侵入口をふさぐ材料、ネズミ取り |
| 押し入れ・物置に小さな糞 | ハツカネズミ | ネズミ取り、細かい隙間をふさぐパテ |
天井裏の足音は、高い所を走るクマネズミを疑う
クマネズミは高い所が得意で、電線や雨どいを伝って屋根の近くから入りこみます。
天井裏は人が入りにくく、ネズミ取りを置くには点検口から体を入れる必要があります。

そのため、まずは天井裏に向けて使える忌避剤と、外壁や軒下の隙間をふさぐ材料から始めます。
台所や床下の気配は、水回りに強いドブネズミを疑う
ドブネズミは床下や下水の近くに多く、台所の床に置いた野菜やパンの袋がかじられるのがよくある気づき方です。
床の上なら道具を置きやすいので、流しの下の配管まわりをふさぎ、壁際にネズミ取りを並べる組み合わせが使えます。
押し入れや物置の細かい糞は、体の小さいハツカネズミを疑う
ハツカネズミは体が小さく、ほかの2種類が通れないような細い隙間からも入ります。
押し入れの奥や物置の箱の陰に米粒ほどの糞があれば、細い隙間まで埋められるパテと、箱の脇に置けるネズミ取りを用意します。
忌避剤・超音波・におい・ネズミ取りの違い
4つの道具は「寄せつけない道具か、捕まえる道具か」で大きく2つに分かれます。
| 系統 | 何をする道具か | 向く場面 | 弱いところ |
|---|---|---|---|
| 忌避剤(スプレー・置き型ゲル) | ネズミの嫌がるにおいで近寄りにくくする | 天井裏の入口、配管の周り | においに慣れることがある |
| 超音波 | 人に聞こえにくい高い音を出す | 音のする部屋の補助 | 慣れる可能性が指摘されている |
| ハッカ油などのにおい | においで近寄りにくくする | 狭い場所の補助 | 効き目が続きにくい |
| ネズミ取り(粘着・かご・毒餌) | 捕まえる | 通り道が分かっている床 | 捕まえた後の処理がある |
忌避剤は、入口と通り道に使う
忌避剤には、天井裏や配管の周りに吹きつけるスプレーと、棚の奥や床下の入口に置くゲルがあります。
ネズミを家の外へ追い出してから入口をふさぐ流れを作れるのが、忌避剤のいちばんの使い道です。
ただしにおいに慣れて戻ってくることもあるので、忌避剤だけで終わらせず、ふさぐ作業とセットにします。
スプレーは食器や食品、人やペットに向けず、使える場所は商品の表示でご確認ください。
どちらを買うか迷ったら、使う場所が手の届く範囲かどうかで分けます。
点検口から天井裏へ向けて広く吹きつけたいならスプレー、流しの下や冷蔵庫の裏のように同じ場所に置きっぱなしにしたいならゲルが向きます。
天井裏と台所の両方で気配があるなら、スプレーとゲルを1つずつそろえて、場所で使い分けます。
超音波は、補助と割り切って使う
超音波を使うなら、ハムスターやモルモットなど、げっ歯類のペットがいる部屋で使わないよう表示している商品もあります。
買う前に、使えない部屋の条件を商品の表示でご確認ください。
ハッカ油などのにおいは、狭い場所の補助に
ハッカ油を染みこませたコットンを、引き出しの奥や流しの下に置く使い方もあります。
においは数日で薄れるので、こまめに取り替える前提で考えます。
猫は精油の成分が体の負担になる可能性があるため、猫のいる家では使う場所を慎重に選びます。
ハッカ油や超音波の使いどころは、「ハッカ油の虫除けは頼れる?超音波・吊るすタイプと合わせた使いどころと限界」の記事で詳しく扱っています。
ネズミ取りは、通り道が分かってから
粘着シート・かご型の捕獲器・毒餌(殺鼠剤)は、ネズミの通り道に置いてはじめて役に立つ道具です。
糞やかじり跡で通り道が見えてきたら、ネズミ取りを足します。
種類ごとの違いと置き方、捕まえた後の処理は、「ネズミ取りの選び方、粘着シート・捕獲器の違いと、置く場所と捕まえた後の処理」で扱っています。
侵入口をふさぐ道具は、パテ・金網・ステンレスたわし
追い出しても、入口が開いたままならネズミは戻ってきます。
ネズミ対策の効き目を長く保つには、入口をふさぐ作業が欠かせません。
ふさぐ場所は、配管の穴と、2cm前後の隙間
ネズミは2〜3cmほどの穴があれば入りこめるといわれ、体の小さいハツカネズミはさらに細い隙間も通ります。
家の外周を回って、次のような場所を確かめます。
- エアコンの配管を通した壁の穴と、パテのひび
- 流しの下やガスメーターまわりの、配管が床や壁を抜ける所
- 床下の通風口、戸袋の中、換気扇のまわり
- 軒下やトタン外壁の下の端
材料は、隙間の大きさで使い分ける
| 材料 | 向く隙間 | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| 防鼠パテ | 配管の周り、小さな穴やひび | かじられにくい防鼠用を選ぶ |
| ステンレスたわし | 手で詰められる大きさの穴 | さびにくいステンレス製にする |
| 金網 | 通風口など広い開口 | 網目1cmほどの細かいものを選ぶ |
ふつうのパテやスポンジは、ネズミにかじられて穴が開き直すことがあります。
ステンレスたわしを穴に詰め、その上からパテで固めると、かじられにくく、見た目も整います。

通風口は床下の換気に必要なので、ふさがずに金網をかぶせて、空気の通り道を残します。
ふさぐのは、追い出してから
ネズミが中にいるうちに入口を全部ふさぐと、家の中に閉じこめてしまいます。
忌避剤を使って数日たち、物音が減ったのを確かめてから入口をふさぐ、という順番で進めます。
ふさいだ後も、しばらくは週に1回ほど、パテがかじられていないか見回ると、別の入口に気づけます。
自分でやるときの、買う順番
一度に全部の道具を買うと、使わないまま残る物が出ます。
気配に気づいてからの動き方は、目安として次の順番で考えると、買い物が無駄になりにくくなります。
- 最初の数日: 忌避剤を1つ買い、物音や糞が出る場所をメモする
- 物音が減ってきたら: 外周と台所の隙間を探し、パテ・ステンレスたわし・金網で入口をふさぐ
- それでも糞やかじり跡が続くなら: 通り道の壁際にネズミ取りを置く
- ネズミ取りでも減らないなら: 管理会社や業者に相談する
入口をふさぐ材料は、ホームセンターの補修用品の売り場でそろいます。
穴の大きさを測ってから行くと、パテの量や金網の大きさを選びやすくなります。
家族・ペット・住まいで、選び方を変える
子どもやペットがいる家
毒餌や粘着シートは、子どもやペットが口に入れたり、体にくっつけたりする事故につながります。
置くなら、家具の裏や、子どもとペットが入らない部屋に限ります。
猫や犬、小鳥、観賞魚、ハムスターなど、一緒に暮らす動物の種類によって気をつける点が違うので、使う前に商品の表示を読み、心配があれば獣医に相談します。
殺虫剤や忌避剤を使う前の準備は、「ペット・赤ちゃんがいる家の殺虫剤とバルサンの使い方、使う前の準備と避けたい置き方」でまとめています。
賃貸や集合住宅
賃貸住宅で外壁や配管の穴をふさぐ場合は、作業の前に管理会社か大家さんに連絡します。
建物の穴は共用部分にあたることがあり、勝手に埋めると原状回復を求められる場合があるためです。
集合住宅では、建物全体で駆除を手配してもらえることもあります。
業者や管理会社に任せる線引き
天井裏や床下に入らないと、ネズミの通り道や入口に手が届かない
入口をふさいでも、しばらくすると別の場所から物音がする
糞やかじり跡が、いくつもの部屋に広がっている
断熱材や電気の配線にかじられた跡がある
2階の軒下など、はしごを使う高い所に入口がある
1つでも当てはまるなら、自分で抱えこまず、管理会社や駆除業者に相談する段階です。

天井裏は、板を踏み抜いたり、配線を傷めたりするおそれがあり、慣れない人が入るのは危険です。
建物の構造に手を入れる修理は、施工した会社やリフォーム業者に相談します。
業者に頼むときは、調査・入口をふさぐ作業・糞の清掃・再び出たときの対応のどこまでが見積もりに入っているかを確かめます。
相談するときは、物音がした時間帯と部屋、糞やかじり跡を撮った写真を見せると、どこから入っているかの見立てが早くなります。
見積もりを1社だけで決めず、作業の範囲と再発時の扱いを2社ほどで比べると、範囲の違いが分かりやすくなります。
ネズミの相談を受けている自治体もあるので、保健所や市区町村の窓口に先に聞いてみるのも1つの方法です。
今夜もし物音がしたら、どの部屋の、どのあたりの天井かをメモしておき、明るくなってから家の外周を1周して、メモした部屋に近い外壁に2cmほどの隙間がないか探してみてください。






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